世界最大の美術館と共同で古代エジプトの神秘を表現
フランス国立造幣局は、これまで多くの有名ブランドと提携して、フランスの誇る美術工芸品を題材にしたコインコレクションを発行してきました。2014年バカラ、2015年セーブル、2016年ヴァンクリーフ&アーペル、 2017年ギ・サヴォワ、2018年ブシュロン、2020年ベルルッティ…。そして2022年は、世界最大の美術館として知られるルーヴル美術館とのコラボレーションが実現しました。
今回は、2022年がツタンカーメン王の墓発見から100周年、ヒエログリフの解読から200周年という、古代エジプトにまつわる二つの記念すべき年にあたることから、「エジプトの秘宝」をテーマに掲げ、フランス国立造幣局とルーヴル美術館が互いのノウハウを結集して魅力的なコレクションを生み出しました。
フランス国立造幣局の彫刻師ホアキン・ヒメネスが、エジプトに眠る財宝とその価値、謎をヒントにしてデザインした、発行数僅か14枚の希少な1キロ金貨です。表面には、中央部にタニスの大スフィンクスの詳細な彫刻、その左右に月の神コンスと神の巫女シェペヌペトが描かれています。「LOUVRE」(ルーヴル)、ヒエログリフ発見200周年を示す「1822-2022」も刻印されています。
裏面では、中心に若きツタンカーメン王と、彼を守護するアメン神(エジプトの神々の主神)の神像を表現。周囲には、神の巫女シェペヌペトが所有していたとされるブロンズの箱のヒエログリフ、魔除けの「ホルスの目」が彫刻で表現されています。下部にピラミッドが刻まれ、左右にツタンカーメンの名を含むカルトゥーシュ(装飾枠付の象形文字)も配置されています。
~ルーヴル美術館~
かつて王宮であったルーヴル美術館は、800年にわたる歴史を擁しています。1793年に美術館として創建されて以降、先史時代から19世紀までの数千年にわたるコレクションが収蔵されています。館内は9部門に分類され、35,000点を超える様々な美術品が公開されており、毎年世界中から800万人以上の入場者が訪れます。
◆ヒエログリフ解読200周年とツタンカーメン王の墓発見100周年
古代エジプト文字であるヒエログリフ(神聖文字)は、1822年にフランスのエジプト学者ジャン=フランソワ・シャンポリオンによって解読されました。シャンポリオンの研究の鍵となったのは、1799年のエジプト遠征で発見されたロゼッタストーンに、古代ギリシャ語、デモティック(民衆文字)、ヒエログリフの3種類の文字で同じ法令が刻印されていたことでした。ヒエログリフの解読から100年後の1922年11月4日、英国の考古学者ハワード・カーターは、ルクソールの対岸、ナイル川西岸にある王家の谷でファラオのツタンカーメンの墓を発見しました。墓からは、王のミイラや、金、アラバスター、象牙で作られた膨大な数の葬儀用の家具、日用品、貴重品など5,000点以上が発見されました。