火災を乗り越え、再オープンするゴシック建築の傑作を称えて
フランス国立造幣局は、2010 年以降、フランスの誇る美術工芸品を題材にしたユニークなコインコレクションを、フランスの文化機関コルベール委員会の加盟企業と共同で生み出してきました。これまでコラボレーションした企業は、カルティエ、バカラ、セーブル陶芸都市、ヴァンクリーフ&アーペル、ギ・サヴォワ、ブシュロン、ルーヴル美術館、ベルルッティなど。今年2024 年は、ノートルダム大聖堂の火災後の修復工事が終わりに近づき、12 月8 日より一般公開が再開されることを記念して、このフランスの遺産であるゴシック建築の傑作をモチーフとするコレクションが発行されることになりました。
今回は、コレクションを通じて、何世紀にもわたって受け継がれてきた先祖伝来の技術による「貨幣の保存」と「遺産の保存」の重要性を訴えます。
表面デザイン
大聖堂のゴシック様式に敬意を表すため、四葉形の装飾が施された尖塔アーチの輪郭を象っています。表面には、19世紀にウジェーヌ・ヴィオレ・ル・デュクが再建した尖塔をデザインし、併せてゴシック建築様式の特徴であるステンドグラスを再現。1キロ金貨では、カラフルな着色を施すとともに、高熱でエナメル加工された金を窓の上部に挿入し、大聖堂の“西のバラ窓”の華麗さを称えています。ファサード(建築物正面部のデザイン)部には、額面と発行年が刻まれています。
裏面デザイン
改装された大聖堂の内部を忠実に描写。屋根を支える三角形をしたトラス構造の木材が複雑に絡み合った骨組みであることがわかります。この骨組みは、先人たちと同じ職人技によって再建されたものです。左下には、フランス共和国の頭文字「RF」が刻まれています。
1キロ金貨は、ノートルダム大聖堂の“西のバラ窓”の装飾を施したオーク材のケースに収められています。2 枚の扉が大聖堂のように開き、中央には大聖堂の屋根構造を縮小した三角形のトラスが設置され、その中央突起部にコインを配置。トラスの部分には、大聖堂の修復で使われたものと同じ木材が使用されています。コインとトラスをケースの外にも飾ることができる木製スタンドが付属。引き出しには、シリアル番号入の発行証明書と手袋が収納されています。
NFCチップ搭載
今回フランス国立造幣局は、大聖堂の再建に携わった職人たちに敬意を表するため、革新的な技術を導入しています。1 キロ金貨のケースには、通信技術規格「NFC:Near fieldcommunication」を使用した非接触のIC チップを搭載。コインの所有者はスマートフォンでスキャンして、専用アプリケーションから、個人デジタル証明書に登録できます。また、アプリからコレクション専用のコンテンツにアクセスして、コイン開発に関する写真や動画を楽しめます。
◆ノートルダム大聖堂
ゴシック建築の傑作であるパリのノートルダム大聖堂は、12世紀に建てられて以降、フランスの首都の発展の重要な証人として、ナポレオン・ボナパルトの戴冠式などの重要な出来事や祝祭の舞台にもなってきました。二つの革命で損傷を受けた後、19世紀にヴィオレ・ル・デュクによる大規模なプロジェクトで修復され、多くの芸術家、思想家たちにインスピレーションを与えてきましたが、2019年の火災によって屋根構造が完全に焼失しました。再建にあたっては2,000本の樫の木が必要となり、数多くのアーカイブ、文書、スキャン画像を用いて行われました。
※アーチ型コインの発行証明書のシリアル番号は選べません。