各国の技と個性あふれる「虎」が集結
コインを鋳造するのは、1100年以上の歴史を有する「英国王立造幣局(ロイヤル・ミント)」、世界有数の貨幣生産量を誇る「カナダ王室造幣局」、デザイン性の高さに定評のある世界最古の「フランス国立造幣局(モネ・ド・パリ)」、熟練の職人チームを擁する「シンガポール造幣局」、オーストラリア最古の「パース造幣局」。虎がコインから飛び出して来るような迫力ある構図や、緻密な刻印技術による立体的な表現、グラフィカルなデザインなど、それぞれの技術と個性を堪能することができます。
■英国(2ポンド)
<表面>
英国発行のすべてのポンド硬貨に共通の女王エリザベス2世の肖像が描かれています。2015年から採用されている5番目のデザインは、アーティストのジョディ・クラーク氏によるもので、穏やかな微笑をたたえた表情が特徴的です。額面のほか英国君主の称号である「D.G.REG.F.D」が刻まれています。
<裏面>
1100年以上の歴史を有する英国王立造幣局によるクラフトマンシップと最新の鋳造技術によって、コインから飛び出して来そうな迫力の虎を正面から繊細かつ立体的に描かれています。漢字の「虎」と英語で「YEAR OF THE TIGER」と刻まれ、西洋と東洋の文化が融合したデザインとなっています。
■カナダ(15カナダドル)
<表面>
カナダ発行の硬貨に共通の女王エリザベス2世の気品溢れる肖像が描かれています。「D.G.REGINA」はラテン語で「神の恩寵による女王」を意味します。
<裏面>
崖の突端に立ち、遠くを見つめる虎を大きく描いています。背景には、崇高さや長寿を象徴するとされる「松の木」や、幸運を巻き取るという願いが込められている「渦巻く雲」、上部には「虎」の漢字などが刻まれています。デザインを手がけたのは、カナダ人アーティストのアリーズ・チェン氏。
■フランス(10ユーロ)
<表面>
正面から見た虎が雄叫びをあげながら輪の中から身を乗り出している、フランス国立造幣局らしい独創的なデザイン。輪の中には十二支の動物や植物のモチーフ、周囲には竹林が微細な彫刻で描かれています。中国の書道家・趙長青氏による「虎」の文字や仏語が刻まれています。
<裏面>
中国の伝統的な寺院の扉が右上に円形で描かれ、それを扇状に取り囲むように十二支の動物たちが精緻な彫刻技術でランダムかつ重層的に描かれています。周りには年号(2018年~2029年)や、フランス語で「CALENDRIER CHINOIS」(中国暦)と刻まれています。
■ブータン(500ニュルタム)
<表面>
ヒマラヤ山脈に囲まれた大自然の動植物や雲と、活発に動き回る虎をグラフィカルに表現したデザイン。周りには英語で「YEAR OF THE TIGER」、額面などが刻まれています。“幸せの国”として知られるブータン王国の神秘的な魅力を美しいコインの輝きとともに堪能することができます。
<裏面>
同国の玄関口の国際空港があるパロ市の溪谷にある「タクツァン僧院」が、鮮やかなカラーで描かれています。チベット仏教信仰の聖地でもあるこの僧院は、標高約3000メートルの切り立った岩壁にあり、別名「虎の巣(Tiger's Nest)」とも呼ばれています。
■オーストラリア(1豪ドル)
<表面>
オーストラリア発行の硬貨に共通の女王エリザベス2世の肖像が描かれています。2019年から採用されている6番目のデザインは、アーティストのジョディ・クラーク氏によるもので、穏やかな微笑をたたえた表情が特徴的です。コインの重量や純度、額面なども刻まれています。
<裏面>
岩山の上に立ち、牙をむきながら吠える虎の猛々しい姿を大きく描いたシンプルなデザイン。虎のシンボルとも言えるシマ模様や毛並み、岩肌などが緻密な刻印技術でリアルに表現されています。漢字の「虎」や「TIGER2022」 、パース造幣局で鋳造されたことを示すミントマーク「P」も刻印されています。